「NearLink 3.0」バッテリーレスの無源SLZを初披露:電池を捨ててRFIDの牙城に挑む

「NearLink 3.0」バッテリーレスの無源SLZを初披露:電池を捨ててRFIDの牙城に挑む

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データソース:国际星闪联盟 + 共熵服务中心 + 南方都市报

2026年10月22日から24日にかけて、第2回コンシューマーエレクトロニクス革新大会(CEIC 2026)兼国際SparkLinkアライアンス産業サミットが深セン福田会展センターで開幕した。公式に公開された9号館のブースマップと3日間のアジェンダには、新たなエアインタフェースの名称「NearLink 3.0 無源SLZ(Passive SLZ)」が記されていた。同時にNearLink電子ペーパーや無人リテールソリューション、『NearLink SLE 3.0 技術標準進化白書』、電動二輪車向けデジタルキー技術も一斉に登場した。

過去3年間、一般における星閃(NearLink / SparkLink)の認知は、ポーリングレート4K対応のゲーミングマウスやスタイラスペン、車載デジタルキーといったデバイスが中心だった。これらは省電力設計であっても、端末内部にリチウムポリマーやボタン電池を搭載する必要があった。NearLink 3.0は無源SLZエアインタフェースと電子ペーパーソリューションを投入し、アクティブなコンシューマー周辺機器から、電池不要で動作する産業・小売向けIoTインフラへと領域を一気に広げつつある。

CEIC 2026および国際SparkLinkアライアンス産業サミットの公式メインビジュアルポスター 画像:CEIC 2026および国際SparkLinkアライアンス産業サミットのキービジュアル。テーマは「星閃AI・智合万物(NearLink AI: Connecting Everything Intelligently)」。出典:国際星閃無線短距離通信連盟。

国際SparkLinkアライアンスが公開している技術仕様書を紐解くと、NearLinkのアクセス層はもともと3つのエアインタフェースで構成されていた。1つ目は「同期広帯域 SLB(Synchronous Low Latency Broadband)」で、2.4GHz帯および5.8GHz帯を利用する。直交マルチキャリアCP-OFDM波形を採用し、最大16キャリア・帯域幅320MHz、1024QAM変調に対応。SLBの片道遅延は20.833マイクロ秒未満、グループ測位精度は30センチメートル以内を実現しており、遅延100マイクロ秒未満が求められる車載アクティブノイズキャンセリングや4K/8K映像の無線伝送、商用車の360度パノラマビューカメラなどに利用されている。

2つ目は、T/XS 10002-2022標準に準拠した「同期狭帯域 SLE(Synchronous Low Energy)」だ。1MHz、2MHz、4MHzの帯域幅とPolarチャネル符号化をサポートし、エアインタフェース遅延を125マイクロ秒に抑えつつ最大12Mbpsのスループットを発揮する。従来の低消費電力短距離規格と比べ、1ビットあたりのエネルギー消費を40%削減し、耐干渉性を7dB向上させたことで、単一ゲートウェイで数百台規模の端末の同時接続が可能となった。3つ目の「同期高精度測位 SLP(Synchronous Link Positioning)」は、UWB(超広帯域無線)信号を活用し、SLEまたはSLBと組み合わせた広狭帯域融合測位を行う。測距誤差は±10センチメートル、角度精度は±5度以内に収まり、スマートテレビのポインティングリモコンなどに実用化されている。

しかし、これら3つの既存モードには共通の前提があった。管理対象となるノード(Tノード)が自前の電源を持たなければならないという点だ。完全ワイヤレスイヤホンの超小型リチウム電池であれ、車載ワイヤレスバッテリーマネジメントシステム(wBMS)のセルからの受電であれ、0.2メートル以下の精度を持つデジタルキーであれ、電源の存在が不可欠だった。NearLink 3.0で追加された第4のモード「無源SLZ」は、端末側の電池を完全に排除した。環境中のRF(電波)エネルギーハーベスティングによって非接触通信を成立させ、数十億枚規模のタグ市場を支配する従来のRFID(Radio Frequency Identification)の領域に真っ向から踏み込む。

エアインタフェース主要スペック・特性給電方式主な活用シナリオ
同期広帯域 SLB片道遅延 < 20.833μs、320MHz帯域幅アクティブ給電(車載電源/大容量バッテリー)車載アクティブノイズキャンセル、6系統1080p全周囲カメラ
同期狭帯域 SLE遅延125μs、最大12Mbps、消費電力40%削減省電力アクティブ給電(ボタン電池/小型リチウム電池)ハイレゾ対応ワイヤレスイヤホン、4Kゲーミング周辺機器、デジタルキー
同期高精度測位 SLPUWB広狭融合測距、精度 ±10cmアクティブ給電(SLE/SLBとRF回路を共用)ポインティングリモコン、屋内空間測位・トラッキング
無源SLZ(NearLink 3.0)パッシブRF通信、非接触識別・センシング対応パッシブ(電池不要、電波発電/環境発電)スマートリテール電子棚札、倉庫物流管理、資産棚卸し

電子棚札がボタン電池から解放される日:1年前から進められた異業種アライアンス

無源SLZとNearLink電子ペーパーが同一のブースマップに並んだ背景には、周到な準備プロセスが存在する。早くも2025年8月20日、深センにおいてNearLinkと電子ペーパー開発チームによる「NearLink+電子ペーパー」の無線画像書き換え試験が成功していた。そのわずか7日後の2025年8月27日、第3回電子ペーパー産業革新大会(ePIC 2025)が深センで開催された。国際SparkLinkアライアンス理事長の石晶林氏と電子ペーパー産業アライアンス執行理事長の陳任桂氏が業務提携を締結し、1,200社を超えるNearLink加盟企業と200社以上の電子ペーパー関連企業が結集する合同ワーキンググループが正式に立ち上がったのである。

国際SparkLinkアライアンスの産業アドバイザーである梁欣剛氏は、同サミットで技術コスト構造を明かしている。電子ペーパーは双安定性インクディスプレイを採用しているため、表示保持中は電力を一切消費しないが、無線通信で価格データを更新する際に電力を消費する。従来の無線規格では、スーパー店内に数万枚の棚札が高密度に並ぶとチャネル混雑とウェイクアップ電力消費が問題となり、店舗側は数年ごとに大量のボタン電池を手作業で交換しなければならなかった。NearLinkはまずSLEモードの受信感度-110dBm、往復遅延250マイクロ秒、ゲートウェイ1台あたり256クライアントの同時接続能力で通信詰まりを解消し、続くNearLink 3.0でバッテリー不要のSLZパッシブIoT規格へと昇華させた。

CEIC 2026 星閃エコシステム革新展 3Dブース配置図と出展企業35社一覧 画像:深セン会展センター9号館のフロアマップ。下部中央に「星閃3.0 無源SLZ」が明記され、上部および左側には「星閃電子ペーパー」や「星閃無人リテール」の展示が配置されている。出典:国際星閃無線短距離通信連盟。

会場レイアウトを見る限り、この技術スタックはすでに実験室での概念実証を脱している。9号館9D01エリアでは、NearLink電子ペーパーがスマート鉱山、電力、教育などの産業向けソリューションと並んで出展され、その隣にはNearLink無人店舗やメッシュネットワークのブースが設けられている。10月24日午前11時05分からは深港国際科学技術園A棟で産業推進部会が開かれ、アライアンスから『NearLinkと電子ペーパー技術産業応用の協創成果と将来動向』が公式発表される予定だ。静止時ゼロ電力の電子ペーパーと、電池不要のSLZパッシブ無線が出会ったことで、店舗の電子棚札、物流通い箱の伝票、病院のベッドサイドネームプレートから、ついに最後の電源コードと電池が取り払われる。

身体性AIと電動二輪車キーの共演:35社が実証する全方位インフラ

アンビエントIoTの底辺へと向かう一方で、NearLink 3.0のもう一つの進化軸は「身体性AI(Embodied AI)」と日常の高頻度端末への拡大である。国際SparkLinkアライアンス事務局長の曽国松氏は事前記者会見で、本サミットにおいてAI時代を見据えたNearLink 3.0の技術ロードマップと、AIエージェント・身体性ロボット向けのNearLinkコネクティビティキットを初披露すると言及した。産業用ロボット分野において、NearLinkが提示するマニピュレータのモーション制御通信信頼性は99.999%〜99.999999%に達し、協働ロボットの片道遅延は100〜500マイクロ秒、時刻同期精度はマイクロ秒単位を誇る。

出展者リストからもこの明確な方向転換が窺える。参加35社には、ファーウェイ、中科晶上(AirCode)、卓勝微(Maxscend)、創遠信科、潤和ソフトウェアといった半導体・モジュール大手から、雷柏(Rapoo)、漫歩者(Edifier)、螢石(Ezviz)、慕思(DeRUCCI)などの周辺機器・スマート家電ブランドが並ぶ。同時に、自変数(X Square)、杭州循数智能、Standard Robotsなどのロボット関連スタートアップも名を連ねており、会場内には「NearLinkスマートロボット工場」や「NearLink没入型遠隔操縦」の実演ブースが設けられている。

CEIC 2026および国際SparkLinkアライアンス産業サミット 3日間の詳細アジェンダ 画像:10月22日から24日までのサミット詳細日程。身体性AIセッション、SLE 3.0白書解説、電子ペーパー応用セッションが網羅されている。出典:国際星閃無線短距離通信連盟。

10月23日午後のNearLinkアプリケーションフォーラムでは、アライアンス副理事長でファーウェイ・フェローの万蕾氏が「AI基盤・身体性知能の先導」と題した基調講演を行う。中国科学院計算技術研究所、DORA-RS、ファーウェイクライド、清華大学の各チームが身体性通信プロトコルについて議論を深める予定だ。10月24日には、『NearLink SLE 3.0 技術標準進化白書』の解説に続き、電動二輪車向けNearLinkキーシステムが披露される。高信頼ブロードバンドで身体性ロボットを動かし、省電力ナローバンドを小型モビリティへ普及させ、バッテリー不要のRFで産業タグを制御する——NearLink 3.0は多軸ロボット関節から数十円の電子タグに至るまで、単一プロトコルスタックで包括しようとしている。

巨大なRFID既存エコシステムへの挑戦:コストと読み取り環境が交代劇を握る

無源SLZを既存RFIDの対抗・代替技術と位置づける動きに対し、産業界では2つの見解が交錯している。NearLink 3.0の統合型アーキテクチャを評価する立場からは、従来のUHF帯・HF帯RFIDプロトコルは設計が古く、「個別IDの識別には特化しているが、ネットワーク層でのリアルタイム協調ができない」という孤立したシステムだったと指摘される。最新のスマート工場や大型店舗では、Wi-Fiルーター、Bluetooth棚札基地局、UWB測位アンカー、専用RFIDリーダーという4系統のハードウェアが天井にひしめき合い、電波干渉や管理の煩雑さを生んでいた。無源SLZがNearLinkスタックに統合されれば、管理ノード(Gノード)がリーダー機能を兼ね備え、ルーター1台でブロードバンド、ナローバンド、測位、パッシブタグまでを一元制御できる。

一方、サプライチェーンやハードウェアの現場エンジニアは、既存インフラの代替におけるシビアな壁を警戒している。20年以上にわたる量産実績を持つ従来のパッシブUHF RFID(ISO/IEC 18000-6C規格など)は、ICチップとアンテナを含めた単価が0.2〜0.5元(約4〜10円程度)にまで叩き落とされている。アパレル値札、航空手荷物タグ、コンテナ封印など世界で毎年数百億枚のタグが消費されており、固定ゲートやハンディリーダーなどの設備投資も完了している。NearLink SLZチップが製造原価を数円レベルにまで圧縮できず、また液体や金属が密集する過酷な現場で圧倒的なマルチタグ読み取り精度を示せなければ、コストに極めて敏感な小売・物流事業者が既存設備を更新する動機は薄い。

2020年9月に80の機関で発足し、2023年5月に国際産業組織としての認可を得て以来、NearLinkアライアンスは加盟社数1,200社を超え、CEIC 2026では河套「6+1」国際組織の3,000社以上の企業と連携するまでに成長した。無源SLZの深センでの一般公開は、国産短距離規格がパッシブIoTの深層部へ打って出る合図となった。スペックシート上の数値はあくまで挑戦権に過ぎない。NearLinkパッシブタグが世界中の小売棚や配送荷物に貼られるかどうかは、チップ単価が「数十銭(0.5元以下)」の防衛ラインを突破できるかにかかっている。

参照リンク:

  • 国際星閃無線短距離通信連盟 公式技術アーキテクチャおよび規格仕様書
  • 深セン市共熵産業と標準革新サービスセンター:NearLinkが電子ペーパー産業に新たな動力を注入、異業種合同ワーキンググループが始動
  • 南方都市報:CEIC 2026 コンシューマーエレクトロニクス革新大会が10月22日に深センで開幕、NearLink 3.0の核心技術を初公開
  • IT之家:NearLink 3.0が明日初披露か:RFID代替技術「無源SLZ」およびNearLink電子ペーパーが登場